会社設立 > 会社設立の流れ > ③商号

株式会社設立「定款」

商号

③ 商号を決める


会社の将来像もふまえた「商号」を選び
調査も出来るだけ行いましょう。

 



商号とは、「会社の名前」にあたるものです。

必ず定款に定めて、登記を行わなければなりません。

商号は、これからの会社の事業を通じて、
ある意味「財産」となってゆくものです。

今後の事業展開も見すえて、
愛着の持てる、長く使える名前を考えましょう。


商号決定のルール


「商号」には以下のルールがありますので、これに反すると登記できません。

「同一住所で同一商号」はNG

会社法が成立する前(2006年4月以前)までは、
既に登録されている商号は、
同一市町村で、同一の営業のために登記することはできませんでした。

現在、登記「不可」とされるのは、
同一本店住所で、同一商号」である場合です。

法律上は

A県B市C町1-2-3 Eビル101号室 株式会社エービーシー
が登記されていたとしても

A県B市C町1-2-3 Eビル102号室 株式会社エービーシー
なら、
登記できる、ということになります。

つまり、
「まったく同じ住所で、全く同じ商号」でなければ、「登記はできる」
ということです。

ただし、現実的に考えると、
同じ地域に同じ名前の会社があると「まぎらわしい」ですし、
もし、事業分野が近いものならトラブルになりかねません。

不正競争防止法において問題になる場合もあります。)

商号を決めるときは、
近くに「似た名前の会社や屋号」がないか?
できるかぎり事前に調査をしましょう。


必ず「株式会社」の文字を、前か後ろに入れる。

 
株式会社であることを示すために、
必ず「株式会社」の文字を入れなければなりません。

  • 「株式会社」の文字を、前か、後ろに入れます
     例:「株式会社エービーシー」または「エービーシー株式会社」
  • 「株式」と「会社」を離してその間に文字を入れることはできません。
  • 「K.K.」とか「Co.,Ltd.」のような英文表記では登記できません。


使用できる文字

商号として使用できる「文字」は、

  • ひらがなカタカナ漢字
  • ローマ字 …A、B、C、a、b、c など大文字、小文字ともOK
  • 算用数字 …1、2、3 など

使用できる「符号」は、以下の6つだけ。
 (アンパサンド)
 (中点)
 (ピリオド)
 -(ハイフン)
 '(アポストロフィー)
 ,(コンマ)



使用「出来ない」のは、上記以外の文字・記号です。

!、?、@、%、( )、# など、上記の6つ以外の記号・符号や
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ 、ⅰ、ⅱ、ⅲ などのアラビア数字は、
会社の商号として登記することができません。


公序良俗に反する言葉はNG

法律に反する言葉、
道徳や社会常識に反する言葉、
は、
会社の商号として使用することはできません。

  例 「賭博」「詐欺」「盗品売買」「売春」などはダメ


その他

会社の部署などを商号に入れることはできません。
  例 「ホープコンサルティング東京支店株式会社」はNG

「銀行」「信託銀行」「保険」の文字
 銀行、信託銀行、保険会社は、必ずそれを示す文字を入れなくてはならず、
 銀行、信託銀行、保険会社で「ない」会社は、
  これらの文字を入れてはなりません。

社会的認知度の高い名称
 例 シャネル、エルメスなどのブランド名を勝手に使用できません。


商号の調査を行う


不正競争防止法、商標権



会社法の成立によって
本店の住所が完全に一致して、同一の商号でない限り、登記はOKということになりました。

つまり、商号が重複していても登記できる、ということなのですが

同じ商号がどんどん増えてしまった場合、
取引において混乱が生じるかもしれません。

また、すでに特定の企業名で信用や社会的認知を得ている会社にとっては
後から設立した会社が、
意図的に同一商号をつけることで損害が生じる

ことも考えられます。

この問題について
不正競争防止法」という法律によって歯止めがかけられています。


不正競争防止法では、

他人の「著名な商号」と、
同一」または「類似」の商号
   ↓
使用することは禁じられています。


また、「その地方において広く知られている商号」と
同一・類似の商号を「その地方で使用」して
他人の商品や営業と混同させること
   ↓
禁止されています。

商号とは別に、「商標」というものがあります。

「商標」とは、「商品・サービスにつけるマーク」のことで、
文字・図形・記号、それらの組み合わせをいいます。

すでに他社が「商標登録」したものと同一・類似の文字列などを
商号(会社名)として使うと
商標権の侵害として「使用差止め」「損害賠償」の請求を受ける場合があります。

つまり、
たとえその会社名をつけるにあたって悪意がなかったとしても
商号が似ている、などの理由で
商号の使用差止め請求」や「損害賠償請求」を受けることがある、ということです。

会社設立時に決定する「商号」は、
長く使い、人々・顧客の信頼を得て行くことで「ブランド」として価値を持って行きます。

先々、思わぬトラブルに合わないように
時間の許す範囲で商号や商標の調査をしましょう。



商号・商標の調査方法

調査方法には以下のようなものがあります。

★電話帳で調べる。

会社を設立する予定の「本店所在地」で、類似の商号がないかを調べるには
一番手っとり早い方法です。


★ネットで調べる。

例えば、「株式会社エービーシー」という商号にしようとしている場合、
ネットで、「株式会社 エービーシー」などで検索して行きます。

さらに、本店所在地予定の「県名」や「市町村名」などを合わせて検索します。
(例「エービーシー 株式会社 神奈川県」)


法務局で調べる。

法務局で「商号調査簿」を調べることが、一番正確です。
(ただし、窓口まで行かなければならず、管轄区域内の調査しかできません。)
法務局の所在地一覧

コンピュータで検索することも、
窓口で「商号調査簿」の閲覧を申請して、閲覧することもできます。


★ネットで「登記情報提供サービス」で調べる。

登記情報提供サービス」で、ネットで法人登記の検索ができます。

 法務局の窓口に行くより手軽ですが、「登録が必要」で、
 パスワードなどが郵送される形のため、少し時間がかかります。
(キーワード検索だけなら無料ですが、登記情報まで確認する場合は料金が必要です。)


★ネットで特許庁の「特許電子図書館」で商標を調べる。

 ⇒「特許電子図書館」(IPDL)

 登録は不要で、無料で検索できます。


商標登録も検討しましょう。

上記とは逆に、
他社にマネされてイメージが壊れてしまうことを避けるため、

自社の「商号」や「商品名」などを「商標登録」することも一つの手です。

例えば、「株式会社ABCD」という商号の会社が
「ABCD」というネーミングの商品を販売する場合
「ABCD」を商標登録してしまえば、他社にマネされることを避けられられます。
(逆に「ABCD」が他社によって商標登録されていれば、それは使えません。)

会社設立にあわせて商標登録する必要はありませんが
「商標調査」をしたついでに考えてみてもよいかもしれません。

 ⇒特許庁「商標の概要」






株式会社設立の流れ 「ページご案内」