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株式会社設立「定款」

現物出資

現物出資


出資は現金ではなく、「現物出資」という方法もあります。
現物出資額は500万円以下にしましょう。


 

現物出資とは?



現物出資とは?》
現物出資とは、現金で出資する(銀行への振り込みなど)のではなく、
パソコンや自動車、機械類、不動産などの財産を出資することをいいます。

発起人だけが、現物出資を行うことができます。

●現金出資ゼロで、「現物出資だけ」での会社設立もOKです。

現物出資ができるもの》

  • 不動産
  • 自動車、船舶、バイク
  • 株式、社債、国債、地方債などの有価証券
  • パソコン、機械、商品 など

(「労務」や「人の信用」などは認められません。)

たとえば、自己資金を100万円しか用意できなかったとしても
自分が保有する自動車やパソコンなど100万円相当を「現物出資」することで
資本金を200万円とすることができるわけです。


 

現物出資の手続き



現物出資には、1~4 の手続きが必要となります。

1. 定款に、「出資者の氏名」「財産」「その価額」「割り当てる株式数」を定めます。

2. 現物出資を行う発起人は、
「財産引継書」を作成して、設立する会社(発起人総代)に提出します。

3. 出資後、設立時取締役(監査役)は、
 現物出資の価額が相当であるか否かを調査して「調査報告書」を作成します。

4. 裁判所に、検査役の選任を申請し、調査を受けます。
(検査役が不要となるケースがあります。下記参照。)


《価額の決め方》

たとえば15万円で買ったばかりのパソコンを出資する場合、

  • 1ヶ月分を減価償却させて価額をつける(パソコンの減価償却期間は4年)
  • 中古品市場の価格を参考にする(裏付け資料を残します)

のどちらかの方法で価額を決定します。

購入から3年経過した普通乗用車を出資する場合は、

  • 3年分を減価償却した価額をつける(普通乗用車の減価償却期間は6年)
  • 中古品市場の価格を参考にする(中古車センターなどに問い合わせる)

 ⇒減価償却資産の法定耐用年数表




現物出資は、500万円以下に



現物出資をする場合は原則として「検査役」の調査が必要となります。

会社法33条では、現物出資がある場合は、

当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。

と定めています。

これは、
現物出資された財産が、「定款に記された価額」よりも「実際の価値」が小さい場合、
他の株主との不公平が生じたり、債権者や取引相手に不測の事態をもたらしかねないからです。

そして、検査役の調査には、
約100万円の費用」と「数か月の調査期間」を要します。

あまりに大きな費用と時間です。

どうすればよいでしょうか?

以下の場合には、検査役の調査は「不要」となりますので、
①②③いずれかとなるように現物出資を行うようにします。


現物出資の財産額
(合計額)が

500万円以下の場合


市場価格のある有価証券
であり、
定款に定めた額が、市場価格を超えない」場合


定款に記載された価額が「相当」である旨
弁護士などの専門家から「証明を受けた」場合



「市場価格のある有価証券」の価格は日々変動していますので
定款の認証を受ける日の市場の終値よりも低い価格となるように評価額を決める必要があります。


弁護士、会計士、税理士などの証明が必要です。
(「不動産」の場合は、不動産鑑定士の鑑定も必要です。)
(鑑定の報酬額が必要になります。)
担保がついている不動産は、借入金残高をマイナスして評価されます。


現物出資と検査役



つまり、①の「現物出資合計額が500万円以下」であれば、
「検査役」の選任を裁判所に申し立てて調査を受ける、という手続きは不要になるということです。

「合計額が500万円以下」ですので
たとえば、「不動産:450万円」+「乗用車:70万円」の場合、合計額は500万円を超えますので
不動産にも、乗用車にも、検査役の調査が必要となります。

現物出資を行う場合は、必ず、現物出資財産の合計額が
「500万円以下」になるようにしましょう。



現物出資での「名義変更」



机、パソコン、FAX、機械類などは、
現物の「引き渡し」によって出資となりますので、名義変更は必要ありません。

★「自動車」「有価証券」「不動産」「特許権」など
登記・登録が必要な財産を現物出資する場合は、
「名義変更」の手続き・費用が必要となります。

これらの名義変更は、「発起人の全員の同意」があれば、
会社設立の登記が終了した後に行うことができます。

(会社の登記事項証明書が必要な名義変更もありますので、これらは登記後にしかできません。)

財産の種類手続の取扱い手続名
不動産法務局所有権移転登記
上場株式株式名簿管理人(信託銀行など)株式の名義書換
自動車運輸支局自動車検査証の移転登録



経費計上できる



現物出資は、資本金を大きくすることが可能になるだけでなく、
「経費に計上」することが出来ます。

例えばパソコンを15万円で現物出資した場合、
中小事業者で青色申告書を提出しているなどの要件を満たせば
初年度に一括で経費計上できます。




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