株券
株券
会社法では、
「株券は発行しない」が、原則となっています。
つまり、「株券を発行する」ことは、会社法では例外的に認められるもの、です。
会社法214条
株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を
定款で定めることができる。
株券は、発行「しない」が原則。
会社設立時に「株券を発行する」ことを選択する場合は、
株券発行会社である旨を
●定款に定める
●登記する
ことが必要です。
株券を「発行する」場合は、定款記載と登記が必要。
ただし、株券を発行すると
印刷、郵送、保管、紛失時の対応、など面倒なことが多いですので
よほどの事情がない限り、「発行しない」を選択することをお勧めします。(電子化の時代ですので)
株券を「発行しない」場合は、
定款の記載も、登記も、必要ありません。
「株券発行」会社を選択した場合の、株券発行について確認しておきましょう。
・株券発行会社は、遅滞なく、株券を発行しなければならない。(原則、会社法215条1項)
・株式譲渡制限会社は、株主から請求があるまで発行しないこともできる。(会社法215条4項)
・株主が株券諸事を希望しない旨の申し出があった場合は、発行できない。(会社法217条)
つまり、株券発行会社であっても
公開会社でない(株式譲渡制限会社)場合は、株券を発行しないままでもよい、ということ。
(株主の発行要請がないかぎり)
会社法が施行される前の旧商法時代は、株券発行が原則でしたが
中小企業のほとんどは株券を発行していませんでした。
なぜなら、株主が創業者の家族であることが多く、
株式の売買、譲渡がなければ、株券を発行する意味もなかったからです。
上場会社の株主も、株券を証券会社などに預けておくことがほとんどでした。
株券を発行する積極的理由がなくなったため
会社法では「発行しないことが原則」となったのです。
株券には、以下の事項を記載しなければなりません。
●「株券番号」
●株券発行会社の「商号」
●当該株券に係る「株式の数」
●株式の譲渡取得について会社の承認を要すると定めたときは、その旨
●種類株式発行会社にあっては、株式の種類・内容
●「代表取締役の署名、または記名・押印」
《株券の例》
株券発行会社の場合、株式の譲渡には「株券の交付」が必要となります。
当事者間の意思表示のみでは、譲渡の効力はなく、
株券の交付(相手に渡すこと)によってはじめて、第3者に対抗しえます。
会社との関係では、
株券の交付だけでなく、
株式取得者が会社に対して株券を提示し、「株主名簿の書換」を請求して、書き換えが行われてはじめて
権利移転の効力が生じます。
株券占有者(株券を実際に保有している者)は、適法に権利を有すると推定される(会社法131条)ため、
株券を提示して株主名簿の書換えを請求された会社は
たとえその者が無権利者であったとしても、請求に応じたことについて責任を負いません。
(ただし、無権利であることを容易に立証できる場合を除きます。会社法133条)
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