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株式会社設立「定款」

株式譲渡制限

④ 株式譲渡制限会社を選ぶ


株式会社には「株式譲渡制限会社」と「公開会社」があります。

機関設計などの自由度が高い
「株式譲渡制限会社」でスタートしましょう。

 

株式とは?


株式会社は、株式を発行して出資金を集め、資本金などの事業基盤とします。

発行される株式の種類によって
大きく「株式譲渡制限会社」と「公開会社」に分かれます。

まず、株式とは?というところから確認して行きましょう。
 




あなたが事業を始めようとする場合、設備を導入したり、仕入れをしたり、人を雇ったりと
いろいろとお金が必要になります。

株式会社の場合、このお金を集める方法には主に次の2つがあります。
(A)株式の引受け人を見つける。
(B)銀行など他者からお金を借りる。

この2つの違いは、
(B)の借入金は、「返さなければならない」ものであるのに対して
(A)の株式引き受けについては、払い込まれたお金を「返す必要がない」ということです。

「株式を引き受ける」とは、その行為を通じて、その事業に参画するということなのです。

別の言い方をすると
株式とは、「会社の所有権を細かく分けたもの」ということができ、
株主とは、株式数に応じて会社を所有する者(オーナー)なのです。

たとえば100株発行している株式会社の株式を、10株保有している株主は
10/100の会社の所有権を持っている、ということになり、
株主は、保有する株式数に応じて「配当を受ける」ことや「株主総会での議決権を行使する」ことができます。

このように、
お金を貸してくれている人・企業である「債権者」と
会社の所有権を株式数に応じて有する「株主」は、
全くべつものなのです。

譲渡制限株式とは?



では、借入金のようにお金が返済されるわけでもないにもかかわらず、なぜ、人は株式にお金を出すのでしょうか?

2つのメリットを求めて、です。

①利益の配当金を得る。
②キャピタルゲインを得る。

キャピタルゲインとは、1株「○円」で買った株式を「○円+α」で売ることで得らる「儲け」です。

つまり②では、株式を自由に売ることができることが前提になっています。

また、たとえば、100万円を株式出資した人が、その100万円を回収しようとする場合も
株式を誰かに買ってもらうことが必要です。

ですから
株式は、「自由に譲渡できる」ことが原則なのです。

ただし、小さな株式会社の場合は、株式が自由に売買されると困ったことが起こりかねません。

技術を磨き、顧客に受け入れられて利益を上げ始めた会社が
誰かに、少ない資金で株式を買い占められて経営権を奪われる可能性があるのです。

また、株式が、会社にとって必ずしも好ましくない人の手に渡り、株主として発言権を持ち、
経営が不安定化することも考えられます。

そこで、会社法は
譲渡するときには「株主総会(または代表取締役)の承認を得なければならない」株式を発行することも可能
としています。

つまり、「自由に売買することができない株式」を発行してもよい、ということですね。

このような株式を「譲渡制限株式」といいます。

「公開会社」と「株式譲渡制限会社」



株式会社は、この譲渡制限株式(自由に売買できない株式)の発行の仕方によって
「公開会社」と「株式譲渡制限会社」に大別されます。

公開会社

1株でも、自由に譲渡できる株式を発行している会社

例えば、100株中、
「99株が譲渡制限株式」
「1株のみ、譲渡自由株式」
 ⇒公開会社


株式譲渡制限会社
(非公開会社)

発行する「すべての株式」が、
譲渡制限株式である会社




つまり、発行する全ての株式を譲渡制限株式(自由に売買できない株式)としている会社を
「株式譲渡制限会社」(非公開会社)といいます。

そして、株式譲渡制限会社にするメリットは
見知らぬ他者に株式を握られて経営の主導権を奪われることを防止することだけではありません。


「株式譲渡制限会社」は、自由度が大きい。



「公開会社」の場合は、
 ・取締役会、監査役を設置しなければならない
 ・株主総会の開催通知を2週間前までに株主に発しなければならない
など多くの制約があります。

一方、「株式譲渡制限会社」(非公開会社)の場合は、
小さな会社であることを想定していますので
機関設計や運営などにおいて自由度が大きくなっています。


株式譲渡制限会社にするメリットとは?

設立する会社を株式譲渡制限会社にするメリットには、以下のようなものがあります。

取締役会、監査役を置かなくてもよい
(取締役1人でOKです。)
(公開会社では、取締役3人以上+監査役が必要です。)
●取締役、監査役を「株主」に限定できる。
株主総会の招集通知期間を「1週間」に短縮できる。
●取締役、会計参与、監査役の「任期」を「10年」まで伸長できる。
 (公開会社の取締役の任期は2年)
●監査役の監査の範囲を、「会計」に関するものに限定できる。
●「発行可能株式総数」を、発行済株式総数の4倍を超えて定めることができる。
●剰余金の配当や議決権について、「株主ごとに異なる取り扱いをする」ことを定款で定められる。
(たとえば、「株主Aは、議決権を有さない」などと定められる。)

 
株式譲渡制限会社であれば
役員は、「取締役1人だけ」、「取締役の任期は10年」、などが可能となります。

非公開会社のメリット

会社設立時は、「株式譲渡制限会社」を選び
会社が大きくなった段階で「公開会社」にすることを考えればよいでしょう。

この場合、必ず定款に
「当会社の株式を譲渡するには、株主総会の承認を得なければならない」
などと定めることが必要です。

譲渡を承認する機関は、「株主総会」か「代表取締役」のどちらかを選択します。
取締役会を設置する場合は、「取締役会」を承認機関とします。
(定款で、上記と別の定めを置くことも出来ます)


譲渡制限株式と相続



譲渡制限株式は、株式の譲渡について会社の承認(株主総会などの承認)が必要なのですが
亡くなった株主の親族が相続で株式を取得した場合には
株式譲渡制限の規定は「適用されません」

この場合、あらかじめ定款に
「会社は、相続人に対して株式の売り渡し請求ができる」旨を定めることが出来ます。




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