株式会社設立・定款
資本金
株式会社設立「定款」
資本金
「資本金」は、事業スタートの基盤となるものです。
しっかりとした資金計画にもとづいてきめましょう。
2006年に「会社法」という名の新しい法律に生まれました。
(商法33条~500条は削除、有限会社法は廃止されました。)
会社法の施行によって、有限会社という会社形態がなくなるなど
色々な面で大きな変更がなされたのですが、
なかでも「最低資本金制度」が廃止されたことは、画期的でした。
これまでは、
株式会社は「1,000万円」、有限会社は「300万円」の資本金がなければ会社設立ができなかったのですが
会社法では、これらが廃止されて、
「資本金1円」で株式会社設立が出来ます、ということになったわけです。
ここには、会社をつくることのハードルを引き下げて
新たな会社が次々に生まれる状況をつくり、経済を活性化させようという政策的な意図があります。
さらに、
新たに設立された会社への「公的な融資制度」も大幅に拡充されました。
ただし、考えなければならないことがあります。
たしかに会社をつくるハードルは下がりました。
新しい会社への融資体制も整備されています。
けれども、その事業が成功して、継続して利益を生むことができるというハードルまでもが
下がったわけではありません。
どのような事業を、どのような形でスタートさせるかという会社設立時の計画・設計は
会社を成功させる上で、非常に大きなウェートを占めます。
「資本金」をいくらでスタートするかは
「資本金1円」が認められているからこそ、真剣に考えるところでもあるのです。
成功のために、どのような選択をすればいいでしょうか?
発起人が出資して金融機関にいったんプールされた「資本金」は
会社設立登記を終えると、
口座から引き出して会社の事業のために自由に使える資金となります。
新たに借りた店舗や事務所の内装や設備、契約に伴う費用、仕入れ、人件費、広告費、生活費・・・
設立時には多くの費用が必要になります。
そして実際に事業を始めると、頭の中で想定していたこととの違いが当然出てきます。
「うれしい誤算」なら大歓迎なのですが
など様々な予想外の現実がつきつけられることもあります。
このようなときに、会社がつかえる資金が十分でないと、
資金手当てに早くも奔走しなければならなくなります。
あなたが熱い思いで会社をつくる決意をしたとしても
「会社設立から1年後には、3割の会社が消えている」
「消え行く会社の多くはは運転資金ショートが原因」
という現実をしっかり認識して事業計画を練らなければなりませんし、
「資本金」の額もその中で位置付けて決めなければなりません。
では、どの程度の資本金であればよいのでしょうか?
「運転資金6か月 + 設備資金」を
一つの目安としましょう。
これは、扱う商品・サービス、業種などによって違いがありますので
絶対の基準と考える必要はありませんが
事業をスタートさせるときにまず考えるべき目安としてください。
①運転資金
・固定費 …毎月の固定費○○円 × 6か月 ⇒ ○○○円
・仕入額 …毎月の仕入費○○円 × 6か月 ⇒ ○○○円
②設備資金
事業に必要な設備のために必要な資金 ○○○円
③事業主の生活資金
毎月の生活資金○○円 × 6か月 ⇒ ○○○円
①+②+③ を「必要資金」として、起業時の資本金の目安にします。
資本金は多いにこしたことはないですし、1年くらい分あれば理想なのですが
6か月程度を準備できれば、
最もしんどい「最初の数カ月」を乗り切ることは可能でしょう。
(ただし、各出資者の出資比率の問題も考えなければなりません。) ⇒「出資額の決定」
事業のスタートのための資金が「資本金」という形で十分な額とならない場合はどうしましょう?
当然、外から「借り入れる」ことを考えます。
このとき、普通は「銀行から融資を受ける」と想像すると思うのですが
残念ながら、海のものとも山のものともわからない新しい会社には、銀行は融資しません。
(自宅に抵当権を設定するなど、担保となるものがあれば別ですが)
(連帯保証人という人的担保による創業融資には、政府のストップがかかっています。)
で、どうすればよいかというと、
創業資金の借り入れは、主に次の2つの制度
から行います。
(「担保なし、保証人なし」で開業資金の融資が受けられます。)
この2つの制度は、
「起業を促進して、日本経済の活性化をはかる」という政策目的から整備されていますので
起業時には私たちの強い味方となってくれます。
ただし、あなたの会社が用意した「資本金」の額がネックとなる場合があります。
融資の「可否」判断に、「資本金の額」が決め手となる場合があるのです。
融資の「可否」判断は
事業分野の将来性、事業計画、アイデア、その事業を推進する人物の経験・熱意・人柄などが総合判断されるのですが
そのなかでも、「資本金の額は?」「どのようにそれを準備したのか?」は
大きなチェックポイントとなります。
(自己資金をいかにつくったのかを判断する材料として、給与明細や預金通帳の提示が求められることがあります。)
「資本金」が、あなたの熱意や計画性のバロメーターとして見られる、ということです。
基本的には、2つの公的制度では、積極的に融資をしようとしているのですが、
猫も杓子も関係なく融資をして「バラマキをしようというわけではありません」ので
「計画がずさん」「成功する可能性が高くない」
と判定されれば、融資決定が下りないわけです。
「資本金がどの程度あれば、融資決定が下りるのか?」について一概に言うことはできませんが
あなたが計画する事業規模に比して、資本金の額が少なければ少ないほど
融資決定の「ハードルは高くなる」という点を確認しておいて下さい。
また、「制度融資」では、
「資本金の2倍まで」などの形で上限設定があります。
(自治体によって違いがあります。ネットなどで、あなたの市町村の制度融資の条件をご確認ください。)
株式会社が「資本金1円」でOKとなったということは
逆に言うと「株式会社だからといって資金力・信用力があるわけではない」
ということも意味します。
ですから、新しい取引先を検討するときに
資本金の額や決算公告の数字など、さまざまな調査をする必要が出てきています。
新規取引がまとまりかけたときに
相手企業が調査をしたときに「資本金1円」となると、
良い印象にはならない、ということです。
また、銀行口座の開設にしても、
資本金の額があまりに低いと、
開設したいと思っていた銀行に口座開設を断られるリスクが高くなります。
新会社法は、
「資本金重視」⇒「利益・剰余金重視」にシフトを促す法体系になっているのですが
資本金を会社の信用性の担保とみなす風潮が完全に消えたわけではありません。
(多くの企業が、取引相手の調査において、資本金の額の重要度を下げていますが)
業種や業界、取り扱う商品によって「どれくらいの資本金が妥当か」は違いますが
「資本金は、信用リスクを測る基準の一つ」として見られることがあることを念頭において決める必要がやはりあるのです。
あなたが設立する会社の事業内容、業界、取引相手、顧客層などを考えて
資本金の額を決めましょう。
資本金を決めるにあたって、「節税」の観点から考えてみましょう。
結論から先にいいますと
「節税」のためには、資本金は「1,000万円未満」にしましょう。
出資金を1,000万円以上~2,000万円未満集める場合は
「1,000万円以上の部分を資本準備金にしましょう」。
これは、消費税と法人住民税の節税対策として考える点となります。
消費税は
「前々年の」課税売上高が、1000万円を超えるかどうかで「課税事業者」となるかどうかが決まります。
新たに設立された会社の場合は、
「前々年の」売上高実績が「設立第1期」「第2期」はありませんので
「資本金」の額を基準に、「課税事業者」となるかどうかが決まります。
↓
資本金が「1000万円未満」の場合は、設立1期目、2期目は、
消費税について免税事業者となります。
●「資本金1000万円」の場合は、1000万円「未満」ではありませんので
消費税課税業者ですので、注意してください。
●会社設立時に「資本金1000万円未満」であっても、増資を行って「資本金1000万円以上」となった場合は、
増資した次の事業年度以降は「課税業者」となります。
●3期目は、前々年の実績がありますので
1期目の「課税売上高」が1000万円以下なら、「免税」事業者となり、
1000万円を超えると「課税業者」となります。
*注)現在は、さらに細かな規定がありますので、資本金以外にも条件があります。
「消費税と会社設立」のページをご確認ください。 消費税と会社設立
設立2期までは、消費税「免税」事業者としたい場合は、
資本金を1000万円「未満」にしましょう。
会社がたとえ赤字であっても払わなければならない税金に
「法人住民税の均等割」があります。
この税金は、「資本金」によって税額が決まります。
例えば、従業員数50名以下の場合
資本金1000万円「以下」 ⇒ 7万円
資本金1000万円超~1億円以下 ⇒ 18万円
資本金が1000万円「以下」か「超」かで
法人住民税が年間「11万円」の差となります。
詳しくは、⇒ 消費税と会社設立 をごらんください。
出資者から払い込まれた金額のうち
最大2分の1までを資本金に組み込まないことができます。
この場合に、資本金に組み込まない部分を「資本準備金」といいます。
消費税や住民法人税などの節税のために、出資額の半分を資本準備金にする
という方法が可能ということです。
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