会社設立 > 会社設立の流れ > ⑤機関

株式会社設立「定款」

機関

⑤ 機関を決める


「株式譲渡制限会社」は、機関がほぼ自由に設計できます。
なるべくシンプルな機関設計にしましょう。

 

機関とは?



会社を運営するには
基本方針決定、経営、監査などを、誰がどのような責任において行うのか、
会社の形を決めなければなりません。

会社の中で、特定の役割を担う人や会議体を「機関」といいます。

株式会社の機関には
 ① 株主総会、② 取締役、③ 取締役会、④ 監査役、⑤ 監査役会、
 ⑥ 会計参与、⑦ 会計監査人、⑧ 委員会
があるのですが

小さな会社の場合は
「株主総会」「取締役」「監査役」「取締役会」が重要です。

⑥会計参与は、会社法で新しく設けられた機関なのですが、
税理士、会計士などの有資格者に限定されることもあり、あまり活用されていません。

⑤監査役会、⑦会計監査人、⑧ 委員会 は、主に「大きな会社」が設置する機関ですので、
以下では、説明を省略させていただきます。

取締役
・会社の業務執行の権限を持つ
・必ず1名以上、設置する
《設置》
定款または発起人会で定める
《任期》
2年
株式譲渡制限会社は10年まで伸長可

監査役
会社の業務執行・会計について、調査報告する
《設置》
定款または発起人会で定める
《任期》
4年
株式譲渡制限会社は10年まで伸長可

代表取締役
会社の経営と業務の最高責任者
《設置》
取締役の中から、定款または発起人会で定める
取締役会がある場合は取締役会で定める
《任期》
特になし(取締役の任期にが基礎)

会計参与
取締役とともに計算書類を作成
《設置》
定款または発起人会で定める
税理士、公認会計士などの有資格者
《任期》
2年
株式譲渡制限会社は10年まで伸長可


機関設計のルール



会社法では、機関の設計について様々なルールが定められているのですが
基本のルールは、つぎの3つです。

「機関」設計の基本ルール

① 株式会社は、「株主総会」と「取締役」を必ず設置しなければならない。

公開会社は、「取締役会」を設置しなければならない。
 ( 株式譲渡制限会社 は、「取締役会」を設置しなくてもよい。)

③「取締役会」を設置すると、「監査役」を置かなければならない。



①は、全ての株式会社に共通する原則です。(必ず「株主総会」と「取締役1人以上」を置く)

②は、公開会社のルールです。(公開会社は「取締役会」を必ず置く)

③は、「取締役会」を置いた場合です。(「取締役会」を置く場合、「監査役」を必ず置く)

つまり、
②+③で ⇒ 「公開会社」は、必ず「取締役会」と「監査役」を置く
ということになります。

公開会社と非公開会社の機関設計



つまり、設立する会社が「株式譲渡制限会社」なら、
取締役(1人以上)を設置」すれば、あとは自由に決めてよい、
 ということなのです。

一方、「公開会社」場合は、
「取締役3人以上」で「取締役会」を置かなければならなず、
さらに「監査役」の設置も必須となります。


「株式譲渡制限会社」の機関設計は
どのように考えてゆけばよい?



「株式譲渡制限会社」(非公開会社)の場合、
「株主総会」と「取締役1人以上」を置けば、あとは自由
なのですが、

実際にはどのように機関設計を考えてゆけばいいでしょうか?

主な3つのパターンを見て行きましょう。

会社設立時の機関1
 ①は、もっともシンプルなパターンです。
 (株主総会と、取締役1人)



会社設立時の機関2
 ②は、2人以上の取締役を置く場合です。
 監査役などの設置は「任意」です。
(置いても置かなくてもよい。)
(会計参与を置いてもよい。)



会社設立時の機関3
 ③は、3人以上の取締役で
 「取締役会」を設置するパターンです。
 必ず「監査役」または「会計参与」を
 置かなければなりません。



1人で会社を始める場合は、①の形でOKです。

2人で会社を設立し運営するなら、②でしょう。(もちろん①でもOKです。)

では、3人以上で会社を運営する場合は?
 ・・・ ①② または ③ 、となります。

①②と③の違いは、「取締役会」を設置するかどうかです。

これはけっこう大きな違いになります。


「取締役会」は設置する?しない?



3人以上で会社を設立する場合に
取締役会」を設置するかしないか、について考えてみたいと思います。
 
どちらを選ぶかによって
会社運営の方法は大きく異なります。

「取締役会」を設置「しない」会社では、
「株主総会」がオールマイティーの機関であり、
ここで基本事項を決めて行きます。

「取締役会」を「設置する」会社では、
株主総会は、
会社法または定款に「株主総会の決議による」と書いてあること「だけ」を決め、
取締役会が、経営上の重要事項を決定することになります。
(借財、支店の設置、財産の処分などは取締役会で決めて行きます。)
経営上の判断・決定を取締役会にゆだねる形、ということです。)

では、取締役会を設置することの「メリット」「デメリット」を見てみましょう。


「取締役会」設置の
「メリット」

方針決定がスピーディー
会社法・定款で決められている事項「以外」は、「取締役会で決めることができる」ので株主総会を招集して、決議する、という手間を省き、迅速な経営方針決定ができます。
(「株主が多い」会社ではメリットになります。)

●取締役の行動に、監査役のけん制機能があります。

●「取締役会」が設置されている会社、ということで対外的な信用度が増します。

「取締役会」設置の
「デメリット」

「取締役3人+監査役」で、最低4人の役員が必要
・取締役会を設置すると、必ず「監査役」(会計参与)を置かなければなりません。
役員コストがかかります。
欠員が出た場合、すみやかな補充が必要です。

★取締役会の議事録を作成、保管の義務があります。

★株主総会の招集手続など、簡略できないものがあります。

株主が多い場合は、
たしかに取締役会を設置したほうがスピーディーな決断・運営ができます。

一方で「取締役会」を設置すれば、
「監査役を含めた最低4人の役員コスト」がかかってきます。

事業スタート時は、「出来るだけコストを抑える」ことは鉄則です。

少人数で、小さな会社をつくる場合は
「取締役会」は、なし、でよいでしょう

基本的に
事業が拡大して、必要性が生じた場合に「取締役会」を設置することを検討すればよい
ということです。
(定款を変更して、取締役会を設置します)

(もちろん、一定以上の資金と人数で事業をスタートする場合は
 最初から取締役会を設置したほうがよい場合もあります。)



では、
「取締役会」が「ある」会社と「ない」会社の違いを確認しておきましょう。

取締役会が
「ない」会社
取締役会
を設置する会社
取締役の人数1人 以上3人 以上
業務の
執行者
各取締役が執行します代表取締役
(または、業務執行取締役)
株主総会の権限会社運営上の「一切を」
決議することができる。
法定事項と定款で定めた事項
「のみ」決議できる。
監査役の設置任意必ず設置する





株式会社設立の流れ 「ページご案内」