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株式会社設立「定款」

役員の選任

⑩ 役員を選任する


取締役・監査役に「なれる人」「なれない人」


発起人の場合は、基本的に「誰でもなれる」のですが、
取締役などの役員は、「なれない」場合もありますので確認しておきましょう。


取締役・監査役に「なれない」人

次の人は、取締役になることが「できません」

法人 (株式会社、社団法人など)
 ⇒×

成年被後見人被保佐人
 ⇒×

「会社法」など以下の法律に違反して有罪が確定した者
 ⇒×
 
「会社法」
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」
「金融商品取引法」
「民事再生法」
「外国倒産処理手続の承認援助に関する法律」
「会社更生法」
「破産法」
(上記の刑の執行が終了し、2年が経過するまでは「欠格」となります。)
(執行猶予の場合も、判決の日から2年が経過するまでは「欠格」)
 

● 上記以外の法律に違反し、「禁錮」以上の刑に処せられて執行中の者
 ⇒×

(刑の執行が終了するまでは「欠格」)
(執行猶予中の者は「合格」)


取締役・監査役に「なれる」人

次の人は、取締役になることができます

未成年者 ⇒OK

法定代理人(親権者)の同意が必要です。
(15歳未満の場合は、印鑑証明が取得できませんので、なれません。)

外国人 ⇒OK

全員外国人でもOKです。

従来は、「代表取締役」の少なくとも1人は、「日本国内に住所がある人」でなければなりませんでしたが、現在は、代表取締役を含め全員外国人でもOKです。
(平成27年3月16日から)

自己破産した人 ⇒OK
 自己破産した人も取締役になることができます。

ただし、取締役在任中に自己破産すると、
民法の「委任」の規定により委任契約が終了しますので、
「再度、取締役に選任する」手続が必要です。



① 取締役・監査役の選任



取締役・監査役の選任は
発起設立の場合 ⇒ 「定款に定める」または「発起人会で決める」
●募集設立の場合 ⇒ 創立総会で決める
で行います。



《発起設立での、取締役・監査役の選任》
 

定款に定める。

会社設立時の取締役や監査役などを「定款に記載する」方法です。
(発起設立の場合、通常、この方法で役員を定めます。)

 定款には以下のように書きます。

(設立時取締役および設立時監査役)

第○○条 当会社の設立時取締役および設立時監査役は、次の通りとする。

  設立時取締役 鈴木○郎
  設立時監査役 佐藤△郎

  • 設立時取締役が辞任などで欠員となり、新しい取締役を選任した場合でも
    定款を変更する必要はありません
  • 「就任承諾書」も不要です。
    (ただし、発起人「以外」の人が設立時取締役となる場合は、「就任承諾書」は必要です。)


発起人会で決める。

「定款に定める」方法を取らない場合は、以下の手順で役員を決めます。

2人以上の発起人で設立する場合は

定款の認証、発起人の出資額の払込みの後、

  • 発起人会を開催し、
  • 株式数に応じた議決権により議決 (過半数をもって決定)
  • 決議により役員が決まったら以下を作成する。
     ・「発起人会議事録」(発起人の記名・押印)
     ・「就任承諾書」(役員になる者が記名・押印)

発起人1人で設立する場合は

  • 「設立時取締役決定書」を作成し、記名・押印します。
  • 「就任承諾書」を作成し、記名押印します。


「発起設立」の場合は、カンタンな
「定款に定める」にしましょう。



《募集設立での、取締役・監査役の選任》
 

創立総会で決める。

「発起人」+「発起人以外の出資者(株式引受人)」で会社を設立する募集設立の場合は、

発起人だけで会社をつくるわけではないので、
「発起人」と「発起人以外の出資者(株式引受人)」が合同で会議を開いて
合意を形成する必要があります。

これを「創立総会」といいます。

「募集設立」の場合は、必ず、「創立総会」を開き、
そこで役員の選出も行います。




② 代表取締役を決める



株式会社という法人には「代表する者」が必要です。

代表する者」は、「会社の意思決定を代表し、その責任を負う者」です。

会社法では以下のように規定されています。

 
●「取締役が1人」の会社 
 ⇒その取締役が、会社を代表する。
 

●「取締役が2人以上」の会社
 ⇒各取締役が、会社を代表する。
 代表取締役を定めてもよい。

「取締役会」設置会社
 ⇒代表取締役を必ず定める
 


つまり、代表取締役(会社を代表する者)は、複数でもいいわけですが、
通常は、会社の軸を定めるため、代表取締役は1人にします。

では、「代表取締役」の選任方法を見て行きましょう。


Ⅰ. 取締役が1人の場合

取締役が、そのまま代表取締役となりますので
とくに手続は必要ありません。


Ⅱ. 取締役が2人以上の場合

代表取締役を「定めても」「定めなくても」OKです。

  • 代表取締役を「定めない」 ⇒ 各取締役が会社を代表する。
  • 代表取締役を「定める」 ⇒ 代表取締役が会社を代表する。

代表取締役を「定めない」場合は、手続き不要です。
(取締役全員を代表取締役と登記します。)

では、
代表取締役を「定める」場合の手続を見て行きましょう。

●定款に「代表取締役は、取締役の互選により選定する」と定めた場合
   ↓

  • 定款に代表取締役を定めます。

(設立時代表取締役)

第○○条 当会社の設立時代表取締役は、次の通りとする。

  設立時代表取締役 東京都品川区○町○番地○号 鈴木○郎

●定款に「代表取締役は、株主総会で選定する」と定めた場合
   ↓

  • 発起人決定書」を作成。 (決議に参加した発起人が記名・押印)
  • 「代表取締役の就任承諾書」を作成。 (代表取締役となる者が、記名・押印)


Ⅲ. 取締役会を設置する場合

取締役会を設置する場合は、必ず「代表取締役」を決めなければなりません。

設立時取締役の過半数により、設立時代表取締役を決定します。

・「選定決議書」を作成します。(設立時取締役が記名・押印します)

・「代表取締役の就任承諾書」が必要です。
 (代表取締役となる者が、記名・押印します)




③ 役員の任期を決める。



取締役などの役員の「任期」を決めましょう。

会社法では以下のように定められています。

-原則株式譲渡制限会社の場合
取締役2年 
10年まで
伸長することができる
監査役4年
会計参与2年

正確に言うと、取締役の任期は、
「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」
ということになるのですが、

株式譲渡制限会社(非公開会社)の場合は、
これを「10年以内に終了する・・・定時株主総会の終結の時まで」
に伸長できるわけです。
(公開会社は、原則通りの任期となります。)

ではどのように決めればいいでしょうか?

取締役があなた1人で、
今後も役員を増やす考えがないのでしたら、
任期を「10年」とすれば
登記手続きは10年間不要ですし、その分の登記費用は節約できますので
任期10年でOKです。

ただし、取締役が複数の場合は、少し慎重に考える必要があります。

たとえば、あなたと他の取締役が経営方針で対立した場合や、
能力不足で「やめてほしい」と考えた場合、

株主総会で「解任」ということになることが多いのですが、
この場合、残りの任期についての報酬を支払うことになりかねません。

会社法では、
「解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。」
と規定されていて、
賠償請求は、解任された者の正当な権利なのです。

そして、役員間の経営方針の対立や、能力不足などは「正当な理由」とはなりません。

ですから、「任期は10年」と定款で定めた場合
任期途中での解任について残りの期間分の損害賠償負担リスクがある
ということを考えなければならないわけです。

複数の役員を置く場合は、
任期は、2年、または5年以内にしましょう。





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