株式会社設立 > 会社設立手順 > 会社法 > 会社法51条(引受けの無効又は取消しの制限)

会社法51条と会社設立(発起人の株式引受け取消)


会社法第2編 株式会社
第1章 設立

会社法第51条

(引受けの無効又は取消しの制限)
第51条 民法(明治29年法律第89号)第93条ただし書及び第94条第1項の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。

2 発起人は、株式会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。



株式会社設立と「発起人の株式の引受け取消」



株式会社設立において
発起人必ず出資して1株以上引受け、
株主にならなければらないわけですが

心裡留保(民法93条但書)、虚偽表示(民法94条)を主張しても「無効」にはならない
というのが会社法51条の規定です。

つまり、
「株式を引き受けるよ、と言ったけど、内心ではそう思っていなかったし、あなたもそれがわかったはずだ」(内部留保)
「あなたと私で、形だけ発起人なると決めたはずだから、出資金は払わない」(虚偽表示)
と主張したところで「無効にはなりません」ということです。

これは会社設立手続きの円滑化を保障するための規定と考えられます。

ただし、会社法36条
出資金の支払いのない発起人には、通知を行い、
期日までに払い込みがなければ、株主となる権利を失う
とされていますので

実際上は、
払い込まなければよく、
株主になる権利を失うだけです。

この場合、定款に定めた「出資される財産の最低額」以下にならなければ
他の発起人が穴埋めで出資する必要もありません。


第2項で規定しているのは、
発起人がいったん払込みを行い、会社が成立した後では
錯誤(重要な思い違い)や詐欺・脅迫などを理由とした無効や取消の主張はできません
ということです。

発起人は、会社設立手続きに責任を負う立場ですので
知人に「発起人なって」と頼まれたときは、
設立に責任を負う立場になる、ということを考えて引き受けましょう。


発起人は、錯誤や心裡留保などを主張できません。







会社法と株式会社設立

会社法46条(取締役による調査)
会社法47条(代表取締役の選定)
会社法48条(委員の選定)
会社法49条(株式会社の成立)
会社法50条(株式の引受人の権利)
会社法51条(引受けの無効又は取消しの制限)